セクターローテーションとは
セクターローテーションとは、株式市場の投資資金が、ある業種(セクター)から別の業種へ移動することをいいます。
たとえば、それまで半導体関連株に集まっていた資金が、銀行株、商社株、内需株、ディフェンシブ株などへ移っていく動きです。
セクターローテーションでは、株式市場から資金が一斉に流出するのではなく、市場内で投資資金の行き先が変わります。そのため、ある業種が下落する一方で、別の業種が上昇することがあります。
セクターとは
セクターとは、企業を事業内容や業種によって分類したものです。
日本の株式市場では、東京証券取引所が上場企業を「電気機器」「銀行業」「卸売業」「医薬品」「食料品」など33の業種に分類しています。
投資家は、個別銘柄だけでなく、業種全体の業績や将来性を比較しながら投資先を選ぶことがあります。
セクターローテーションが起こる理由
セクターローテーションが起こる主な理由には、次のようなものがあります。
- 景気や企業業績の見通しが変化した
- 金利の上昇または低下が意識された
- 為替が円高または円安に動いた
- 原油などの商品価格が変動した
- 特定の業種に割高感や過熱感が出てきた
- 企業の決算によって業種全体の評価が変わった
- 機関投資家が保有銘柄を組み替えた
投資家は、今後の景気や金利、企業業績などを予想し、より高い収益が期待できる業種へ資金を移します。
その結果、それまで相場をけん引していた業種が売られ、出遅れていた業種が買われることがあります。
景気循環との関係
セクターローテーションは、景気の変化と関係して起こることがあります。
一般的には、景気の回復が期待される局面では、機械、電機、自動車、素材などの景気敏感株が買われやすくなります。
金利の上昇が意識される局面では、銀行や保険などが注目されることがあります。一方、景気後退への警戒が強まる局面では、食品、医薬品、電力・ガスなどのディフェンシブ株が選ばれやすいとされています。
ただし、実際の株式市場が必ずこのとおりに動くわけではありません。株価は現在の景気ではなく、数か月先の景気や企業業績を先回りして動くことがあるためです。
セクターローテーションが起こると株価はどうなるのか
セクターローテーションが起きても、株式市場全体が下落するとは限りません。
ある業種から資金が抜けても、その資金が別の業種へ移れば、売られる銘柄と買われる銘柄が同時に現れます。
そのため、日経平均株価やTOPIXがあまり動いていなくても、業種別に見ると株価の強弱がはっきり分かれていることがあります。
反対に、一部の値がさ株が大きく下落したことで日経平均株価が下がっていても、ほかの多くの業種や銘柄は上昇している場合があります。
指数の動きだけでは、市場内部で起きている資金移動を十分に把握できないことがあるため、注意が必要です。
セクターローテーションの見分け方
セクターローテーションを確認するときは、次のような項目を比較します。
- 東証33業種別指数
- 業種別の騰落率
- 業種別の売買代金
- 日経平均株価とTOPIXの強弱
- 値上がり銘柄数と値下がり銘柄数
- それまで上昇していた業種の値動き
- 出遅れていた業種の値動き
- 金利、為替、原油価格などの変化
重要なのは、一日だけの値動きで判断しないことです。
数日から数週間にわたって、これまで上昇していた業種が売られ、別の業種が継続的に買われているかを確認します。株価だけでなく、売買代金が増えているかどうかも判断材料になります。
セクターローテーションと全面安の違い
セクターローテーションと、市場全体から資金が流出する「全面安」は異なります。
セクターローテーションでは、売られる業種がある一方で、買われる業種もあります。
一方、景気後退への懸念や金融市場の混乱などによって投資家がリスクを避けようとすると、業種を問わず多くの銘柄が売られることがあります。この場合は、業種間の資金移動ではなく、株式市場全体から資金が流出している可能性があります。
セクターローテーションの注意点
セクターローテーションに見える動きでも、実際には一時的な利益確定や買い戻しにすぎない場合があります。
特に、それまで下落していた業種が一日だけ大きく上昇した場合は、本格的な資金移動ではなく、自律反発の可能性もあります。
また、「出遅れている」「割安に見える」という理由だけで、その業種に資金が向かうとは限りません。企業業績の悪化など、株価が低迷している明確な理由がある場合もあります。
業種別の値動きだけでなく、企業業績、金利、為替、売買代金などを併せて確認することが大切です。
まとめ
セクターローテーションとは、株式市場の投資資金が、ある業種から別の業種へ移動することです。
それまで上昇していた業種が売られ、出遅れていた業種が買われることもありますが、単なる一時的な反発との区別が必要です。
日経平均株価やTOPIXだけでなく、業種別指数、売買代金、値上がり・値下がり銘柄数などを確認することで、市場の中で「何が売られ、何が買われているのか」を捉えやすくなります。