国債価格と利回りの関係
国債には、価格が上がると利回りが下がり、価格が下がると利回りが上がるという関係があります。
- 国債価格が上がると、利回りは下がる
- 国債価格が下がると、利回りは上がる
なぜ、このような反対の動きをするの?
なお、ここで説明する国債価格の変動は、発行後に銀行や証券会社、保険会社などの間で売買される一般的な国債を前提としています。個人向け国債は市場価格で売買する商品ではなく、中途換金の仕組みも異なりますのでご注意ください。
金利が変わると既存の国債価格も動く
日銀の利上げなどによって金利が上がると、新しく発行される国債の金利も上がりやすくなります。
例えば、新しく発行される国債の金利が1%から3%へ上昇すると、以前に発行された利率1%の国債は相対的に魅力が低下します。
利率1%の既存国債を買ってもらうためには、価格を下げる必要があります。そのため、金利が上がると既存国債の価格は下がりやすくなります。
反対に、新しく発行される国債の金利が3%から1%へ低下すると、以前に発行された利率3%の国債の魅力が高まり、価格は上がりやすくなります。
| 金利の変化 | 以前に発行された国債の魅力 | 既存国債の価格 |
|---|---|---|
| 金利が上がる | 低くなる | 下がりやすい |
| 金利が下がる | 高くなる | 上がりやすい |
利率と利回りの違い
「利率」と「利回り」は似ていますが、意味が違います。
- 利率:国債の額面金額に対して、毎年いくら利息を受け取れるか
- 利回り:実際に投資した金額に対して、どのくらいの収益を得られるか
利率は国債の発行時に決められます。原則として、その後に市場価格が変わっても、受け取れる利息は変わりません。
一方、利回りは、国債をいくらで購入したかによって変わります。
利率1%の国債を100万円で買った場合
例えば、次の国債があるとします。
- 額面金額:100万円
- 利率:年1%
- 年間の利息:1万円
この国債を100万円で購入した場合、投資額100万円に対して年間1万円を受け取るため、単純な利回りは1%です。
1万円 ÷ 100万円 = 1%
購入価格と額面金額が同じなので、この場合は利率と単純な利回りが同じになります。
国債価格が下がると利回りは上がる
金利が上がると、利率1%の既存国債は魅力が低下し、市場価格が下がりやすくなります。
仮に、この国債を90万円で購入できるようになったとします。国債の価格が下がっても、受け取る年間の利息は1万円のままです(利息の計算はあくまでも額面金額100万円の1%)。
1万円 ÷ 90万円 = 約1.11%
90万円の投資で年間1万円を受け取れるため、単純な利回りは約1.11%に上がります。
つまり、受け取る利息が同じであれば、国債を安く買うほど利回りは高くなります。
国債価格が上がると利回りは下がる
反対に、国債価格が110万円に上昇した場合も、年間の利息は1万円のままです。
1万円 ÷ 110万円 = 約0.91%
110万円を投資して年間1万円を受け取るため、単純な利回りは約0.91%に下がります。
基本的な関係をまとめると、次のようになります。
| 国債の購入価格 | 年間の利息 | 単純な利回り |
|---|---|---|
| 90万円 | 1万円 | 約1.11% |
| 100万円 | 1万円 | 1.00% |
| 110万円 | 1万円 | 約0.91% |
このように、年間の利息が同じであれば、国債価格が下がるほど利回りは上がり、国債価格が上がるほど利回りは下がります。
※ここでは仕組みを分かりやすくするため、年間の利息を購入価格で割った単純な利回りで説明しています。実際の国債利回りは、満期時の償還差益・差損や残存期間なども考慮して計算されます。
満期まで保有する場合と途中で売却する場合
国債価格の下落が実際の損失になるかどうかは、満期まで保有するか、途中で売却するかによって異なります。
国債を満期まで保有すれば、発行体である国が契約どおり償還する限り、額面金額が返ってきます。そのため、保有中に市場価格が下がっても、途中で売却しなければ価格下落による損失は確定しません。
一方、満期前に市場で売却する場合は、その時点の市場価格で売ることになります。購入時より国債価格が下がっていれば、売却損が発生する可能性があります。
また、国債を保有する金融機関や企業では、売却していなくても、市場価格の下落によって評価損が発生する場合があります。
※個人向け国債は、一般的な市場取引型の国債とは中途換金の仕組みが異なります。
満期まで保有しても実質的に目減りすることがある
なお、満期まで保有して額面金額が返ってきても、インフレによってお金の価値が下がれば、実質的な購買力は低下します。
これは、国債価格の下落によって生じる評価損とは別の問題です。詳しくは[インフレで国債は目減りするのか]で説明しています。
国債が買われると長期金利は下がる
景気悪化や株価下落への不安が強まると、安全性を重視した資金が国債へ向かうことがあります。
国債が買われる
↓
国債価格が上がる
↓
利回りが下がる
反対に、インフレや利上げ、財政悪化への警戒から国債が売られると、次のようになります。
国債が売られる
↓
国債価格が下がる
↓
利回りが上がる
この10年国債利回りが、日本の[長期金利]の代表的な指標として使われています。
まとめ
国債の利率は発行時に決まりますが、国債の価格は市場で変動します。
同じ利息を受け取れる国債であれば、安く購入するほど利回りは高くなり、高く購入するほど利回りは低くなります。
- 金利が上がると、既存国債の魅力が低下する
- 既存国債が売られると、国債価格が下がる
- 国債価格が下がると、利回りが上がる
反対に、金利が下がると、既存国債の魅力が高まり、国債価格は上がり、利回りは下がります。
長期金利の動きを理解するには、金利だけでなく、その裏側で国債が買われているのか、売られているのかを見ることが大切です。
また、国債価格と利回りの変化は、株式市場にも影響します。
長期金利が上がると、国債の魅力が高まる一方、企業の借入負担や株式の割高感が意識され、株価の下落要因になることがあります。詳しくは[長期金利とは?政策金利との違いや株価への影響]で説明しています。
(公開日:2026/08/20)