7/29 日経平均は大幅続落、それでもTOPIXは上昇
これまで相場をけん引してきた半導体関連株が大きく売られる一方で、ほかの業種へ投資資金が移る動きが鮮明になってきました。
7月29日の日経平均株価は、前日比930円安の6万1,434円で取引を終えました。しかし、TOPIXは0.26%高の3,974.03ポイントと上昇しています。
さらに、東証プライム市場では値上がりが1,044銘柄、値下がりが491銘柄。33業種のうち25業種が上昇しました。
日経平均は大幅に下落しましたが、市場全体を見ると、値上がりした銘柄のほうが多かったことになります。
これは日本株全体が売られたというより、半導体関連株などから、ほかの業種へ資金が移る「セクターローテーション」が進んでいることを示しているように思います。
7月18日に感じた資金の流れの変化
この動きを最初に意識したのは、7月中旬の大幅下落でした。
7月16日・17日の2日間で、日経平均株価は4,610円下落しました。ただ、その下落はキオクシアなどの半導体関連株と、村田製作所、太陽誘電、フジクラなどの電子部品関連株に集中していました。
その一方で、上昇する銘柄や、下げが比較的小さい銘柄も見られました。
そこで私は7月18日の時点で、
市場全体から資金が逃げているのではなく、半導体関連株などから、ほかの業種へ資金が移るセクターローテーションなのではないか
と考えました。
もっとも、その段階では、一時的な利益確定や下落銘柄の自律反発という可能性もありました。一日や二日の値動きだけでは判断できないため、まだ「そうかもしれない」という見方にとどまっていました。
一時的な調整ではなくなってきた半導体株安
その後も、半導体・AI関連株への売りは続きました。
7月24日には、AIへの巨額投資が持続できるのかという懸念から、アドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクグループ、キオクシアなどが大きく下落。その一方で、JR東日本、JR西日本、JR東海などの内需関連株は上昇しました。
さらに7月28日には、中国による半導体製造装置の国産化も警戒材料となり、半導体関連株への売りが一段と強まりました。
ここまで下落が続くと、単なる一日限りの利益確定とは考えにくくなります。
これまで半導体・AI関連株に集中していた資金が、過熱感や高い評価を見直し、別の投資先を探し始めている可能性があります。
日経平均は下落、TOPIXは上昇
7月29日の相場を象徴しているのが、日経平均株価とTOPIXの方向の違いです。
日経平均は930円安となった一方で、TOPIXは上昇しました。
日経平均株価は、株価の高い「値がさ株」の影響を受けやすい指数です。半導体・AI関連株など一部の銘柄が大きく下落すると、日経平均全体も強く押し下げられます。
これに対してTOPIXは、東証に上場する幅広い銘柄の値動きを反映します。
そのTOPIXが上昇し、東証プライム市場では値上がり銘柄が値下がり銘柄の2倍を超え、33業種中25業種が上昇しました。
したがって、7月29日の相場は「日経平均が930円下落した日」というより、
半導体関連株への売りで日経平均は下落したものの、市場全体には資金が広がった日
と捉えたほうが、実態に近いように思います。
半導体株から、どこへ資金が移っているのか
7月29日は、半導体や電子部品を含む電気機器などが売られる一方で、幅広い業種が上昇しました。
特に買われたのは、次のような銘柄です。
- トヨタ、ホンダなどの輸送用機器
- TOYO TIRE、ブリヂストンなどのゴム製品
- JR東日本、JR東海などの陸運
- オリエンタルランド、リクルートHDなどのサービス
資金の移動先が、一部の銀行株やディフェンシブ株だけに限られていない点も重要です。
自動車、内需、サービスなどへ物色対象が広がっており、これまで半導体・AI関連株に集中していた資金の流れが変わり始めています。
中国製DUV露光装置という新たな材料
半導体関連株への新たな懸念材料として、中国による国産DUV露光装置の製造開始も報じられました。
DUV露光装置は、半導体の回路パターンをシリコンウエハーに転写するための装置です。現在、この分野ではオランダのASMLが圧倒的な地位を占めています。
ただし、中国製装置の精度や歩留まり、量産現場における信頼性は、まだ十分に確認されていません。直ちにASMLなど既存メーカーの優位性を崩すとは考えにくい状況です。
それでも、中国が半導体製造装置の国産化を進めていることは、長期的には無視できません。
今回の半導体株安を、このニュースだけで説明することはできません。しかし、半導体関連株の高い評価が見直されるなかで、新たな競争リスクが加わったとは考えられます。
セクターローテーションであればいいのですが…
7月18日の段階では、半導体関連株などから、他の業種へ資金が移り始めているのではないかという見方でした。
その後も半導体関連株の下落が続き、7月29日には、日経平均が下落する一方でTOPIXは上昇しました。東証プライム市場では値上がり銘柄が値下がり銘柄の2倍を超え、33業種中25業種が上昇しています。
ここまでの動きを見ると、半導体関連株から自動車、内需、サービスなどへ資金が移る流れは、かなり鮮明になってきたように思います。
これがセクターローテーションであれば、資金の向かう先が変わっただけで、日本株全体から資金が逃げているわけではありません。
ただ、気になるのは、半導体関連株の下落がさらに大きくなり、それが他の業種、そして市場全体にまで波及しないかということです。
今のところTOPIXは底堅く、値上がり銘柄も多いため、市場のなかで資金が循環していると考えられます。しかし、これまで買われていた自動車、内需、サービスなども一斉に売られ始めれば、単なる資金移動ではなく、市場全体がリスク回避へ傾いた可能性があります。
セクターローテーションであればいいのですが…
半導体関連株の下落が、市場全体の下落へとつながるのは怖いですね〜
その境目を見極めるためにも、日経平均の上げ下げだけでなく、「何が売られ、その一方で何が買われているのか」を、引き続き注意深く見ていきたいと思います。