本文へ移動

億の細道

億り人への道のり―迷い、考え、株式相場を歩む

なぜ長期金利が上がると株価は下がるのか?

長期金利上昇と株価下落の関係

日経平均は2日間で約3,900円安

8月18日の日経平均株価は、前日比1,759円52銭安の6万7,460円73銭となりました。

翌19日も下落は止まらず、前日比2,134円31銭安の6万5,326円42銭で取引を終え、約2週間ぶりの安値となりました。

この2日間で日経平均は合計3,893円83銭、率にして約5.6%下落したことになります。

18日は半導体関連株を中心とした下落で、値上がり銘柄も一定数ありましたが、19日は売りが市場全体に広がりました。長期金利の上昇はいったん一服したものの、中東情勢の長期化や原油高、米国のハイテク株安などが重なり、投資家のリスク回避姿勢が強まりました。キオクシアホールディングスが約13%安、ソフトバンクグループが約10%安となるなど、半導体・AI関連株も引き続き大きく売られました。

今回の株価下落の大きな要因の一つとして挙げられるのが、[長期金利]の上昇です。

日本の長期金利は一時2.945%まで上昇し、3%目前に迫りました。米国などでも長期金利が上昇しており、世界的な金利上昇が株式市場の重荷となっています。

なぜ長期金利が上がると株価は下がるのか?

なぜ長期金利が上がると株価は下がるのか?
その前に、まず長期金利とは何か?

長期金利とは、期間が1年を超える資金の貸借に適用される金利のことです。日本では一般的に、市場で売買されている「新発10年国債の利回り」が代表的な指標として使われます。

では、この国債利回りが上昇すると、なぜ株価は下がりやすくなるのでしょうか。

例えば、あなたが今、100万円を投資するとします(税金は無視して)。

仮に、額面100万円、年3%の利息がつく10年国債を発行時に100万円で購入すれば、毎年3万円の利息を受け取れます。途中で売却せず満期まで保有すれば、原則として額面の100万円が返ってきます。

一方、株式投資で受け取る配当は、企業の業績や方針によって減額されたり、支払われなかったりすることがあります。

また、株式には国債のような満期がありません。投資した資金を回収するには、基本的に市場で株式を売却する必要があります。そのときの株価が購入時より下がっていれば、100万円を回収できない可能性があります。反対に、株価が上がっていれば、売却益を得られる可能性もあります。

この国債の利息3%が、さらに5%とか10%に上がる、つまり長期金利が上昇するなら、あなたはどちらに投資しますか?リスクが大きい株式投資よりも、国債の方がもっと魅力的に感じてくるはずです。

このように国債の利回りが高くなると、「株式で大きなリスクを取らなくても、国債で一定の利回りを得られる」と考える投資家が増えます。その結果、株式の魅力が相対的に低下し、株式から国債へ資金が移りやすくなるのです。

長期金利が上がると株価が下がる理由は、ここまでの理由を含め大きく三つあります。用語集の[長期金利とは?政策金利との違いや株価への影響]で詳しく説明しています。

長期金利はなぜ上昇しているのか

今回の長期金利上昇には、主に次の要因が重なっています。

  • 原油高や円安によるインフレ懸念
  • 日銀の追加利上げ観測
  • 国債発行の増加や財政悪化への警戒
  • 世界的な長期金利の上昇

物価上昇が続けば、日銀の追加利上げが意識されます。また、国債発行の増加や財政への不安が強まると国債が売られ、長期金利の上昇につながります。

国債価格と利回りの関係については、用語集の[国債価格と利回りはなぜ反対に動くのか?]で詳しく説明しています。

金利上昇はすべての株に悪材料なのか

金利上昇の影響は、業種や企業によって異なります。

グロース株や不動産会社、借入金の多い企業には逆風となります。一方、銀行は貸出金利の上昇による利ざやの改善、保険会社は国債などの運用利回りの上昇が期待できます。

そのため、長期金利の上昇は単なる株安の材料ではなく、金利上昇に弱い企業から強い企業へ資金が移るきっかけにもなります。

今回は「悪い金利上昇」なのか

景気が回復し、企業業績が改善するなかで長期金利が上昇するのであれば、株価も一緒に上がることがあります。

しかし今回は、原油高や円安によるインフレ、日銀の追加利上げ観測、財政悪化への懸念などが重なっています。

企業業績の改善を期待した金利上昇というよりも、物価と金利の上昇が企業や家計を圧迫することへの警戒が強く、「悪い金利上昇」に近いと考えられます。

今後確認したいこと

今回の下落では、日経平均の下落率がTOPIXよりも大きくなっています。これは、日本株全体が同じように売られたというより、日経平均への影響が大きい半導体・AI関連株が強く売られたためです。

今後は、長期金利が3%を超えるのか、半導体・AI関連株に買い戻しが入るのか、銀行や保険などへ資金が移るのかを確認したいと思います。

今回の下落が一時的な調整で終わるのか。それとも、半導体・AI関連株を中心とした相場から、金利上昇に強い業種へ資金が移るきっかけになるのか。

株価だけでなく、長期金利と業種ごとの強弱をあわせて見ていく必要がありそうです。

※本記事は、株式市場や金利についての個人的な考察をまとめたものであり、特定の金融商品や銘柄の売買を推奨するものではありません。

TOP 市況・相場観 なぜ長期金利が上がると株価は下がるのか?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください